2019/09/14

あにつく2017 基調講演


詳細:https://www.too.com/atsuc/2017/
登壇者:鶴巻和哉 小林浩康(敬称略)
両者あにつくTで登場。マッキーのTシャツは緑。

デジタルへの期待

鶴巻和哉
初めてデジタルに触ったのは『カレカノ』の第十二話。キャラクターたちがUNOをするシーンのデジタル。デジタルの印象は凝った撮影ができるなぁという感じ。
エヴァのEDなんかはフィルムで撮影するのがかなり大変だったので、撮影会社からは一回しか取らないと念を押されたくらい。あぁいうことがデジタルだと容易。
IGが作った『BLOOD』はかなり画期的で、フィルムに感じていた色の限界をデジタルを使っていて、デジタルの未来だと思った。きちんと「光」を描けるなぁと思った。グレーに寄せるとかブルーに寄せるとか。ノーマルの光の中でオレンジのライトを浴びてるとか、午後三時・四時と言った細かな光の表現にも使えるのではないかと感じた。
ただ、『金田一少年の事件簿』はデジタルになった途端に色がどぎつくなっていて、ショックだった。無頓着に力を入れずデジタルに置き換えてしまうと、光の表現が破壊的に悪くなってしまうのだなぁと感じた。
手書きの場合と違い、CGの場合はまずかんたんに動かすことができちゃう。コンピューターが勝手に中割したり。イメージする前に動いちゃうとそれでいいかなという気になってしまう。
カラーの3Dのアニメーターには、まず完成した画面をイメージしてほしいということを言っている。それに近づけるための工程を踏んでいくように。
小林浩康
カラーに来たころ、まだまだデジタルは期待されていなかった。本編のCGの量が増えていったから、じゃあ手分けしてやるかという感じ。カラーではデジタル撮出しというものをしている。どういう絵なんですよというものがかなりそこで固まる。
鶴巻和哉
どういった作り方をしていくかっていうところも含めて実験的な作りをしているから『BLOOD』はあぁいう画作りになった。それを通常の工程に落とし込もうとしたとき、撮出しによる演出の確認を経ないで作られちゃうということになりがち。
『トップ2!』一話の時はそこのコントロールができなくなっていて、まずいと思った。第二話でもあまりうまくできなくて、第三話でようやくデジタルの撮影の工程が出来上がってきた。そのノウハウを活かして新劇場版を制作している。
『トップ2!』のころ、撮影の山田さんにはもっと撮影がでしゃばっていい(色をいじったりなど)って話をした。山田さんが参加した『グレンラガン』は作画アニメとして有名だが、撮影技術で画面のクオリティがかなり上がった作品。そんな山田さんがやっとカラーに来てくれた!
小林浩康
カラーは演出に寄り添うことができる体制が整っているっていうのが大きい。
鶴巻和哉
プリビズ用の絵コンテを書いてくれって話がきたとき、庵野秀明実写作品は庵野秀明的映像エッセンスがあまり活かされてないんじゃないかって話を庵野さんとした。監督はカメラを覗けないとか、最終的にレイアウトをいじれないとか、そういう実写の縛りがある。
『エヴァ』の脚本はシーンがとんでも行が変わっているだけだが、実写の脚本は脚本に柱がついてシーンが飛んでしまうので、すごいスピード感みたいなものがなくなってしまう。そうなると脚本から感じる庵野さんのスピード感を感じなくなっちゃうんじゃないのって話をした。
絵コンテの絵に縛られるストレスをアニメに感じていて、実写でやるような複数アングルを撮影できる実写で試行錯誤したいという庵野さんの思いもわかるが、実写の窮屈な場面もどうにかならないかなと思っていた。
結果的にプリビズを使うことによって庵野秀明エッセンスを実写に落とし込むことができた。アニメの画面コントロールも、実写の画作りの試行錯誤も。実写の良さもアニメのコントロール感も両立することができた。
小林浩康
『シン・エヴァ』はちょうど面白い工程になってきている。ワークフローが面白い。
鶴巻和哉
『シン・エヴァ』は『シン・ゴジラの経験を活かして作っている、序破Qとはまた異なる作り方をしている。
アニメと実写療法で成功している監督はなかなかいないが、庵野監督はその一人だと思う。庵野さんの中では、実写&CGの要素もアニメの要素も区別がないように思う。『シン・ゴジラでそれが一つ実ったし、『シン・エヴァ』でもそれが実るといいなと思う。
小林浩康
庵野さんや鶴巻さんは、良かったことは採用するしだめだったものは採用しないと言うかたちではっきりしている。バーチャルカメラも含め、演出が手を入れられるっていうのがいいんだと思う。
鶴巻和哉
モデルがあって、カメラも設定したらCGは撮れてしまう。取れちゃったらそれでいいじゃんになりがち。人の手が一個入っていることによって、結果的に演出側が自分が望んでいる映像は作れない。
バーチャルカメラで自分のイメージを修正できる。それしかとれないんだもん!っていう強さもあって、あきらめが付く。人の手を経ている時はあきらめが付くにくくて、いつまでも画をいじってしまう悪さもある。
  

作画とCG

鶴巻和哉
もともと絵も描いてたんだけどCGやってるっていう人はいるが、手書きからCGに来る人はあまりいない。手書きアニメーターは手書きにプライドを持ちすぎているのかなと思う。最近はもう手書きのアニメーターでもタブレット・CG使えるのは当たり前だなぁという気がする。
ハナシが繰り返しになるが、手描きアニメーターも先に原画をばばばっとつくってクイックアクションに入れてタイミングを作ろうとする人がいて、一回動かしてしまうとイメージが固まってしまう。順番を考えて描くことが大事。イメージしてから描き出さないと。

今後の展望
小林浩康
やれることはあるのでそれを頑張っていく。まだまだ面白いことできるんじゃない感じという感じがしている。ぜひカラーに来てほしい。
鶴巻和哉
新人さんには、気にせずどんどん意見を言ってほしい。
ただ、ガイナックスからの気質で言った以上お前がやれよとなりがち。言った以上責任がある。なので、言うだけじゃなくてスキルも身につけなきゃという感じ。
庵野さんが宮﨑駿に気に入られてるのと同じように、ボクが庵野さんに使ってもらえているのも、ずけずけと意見をいうからだとも思う。