2020/03/23

しどろもどろ 映画監督岡本喜八対談集


岡本喜八監督の対談集。22ページに渡って庵野さんと岡本喜八監督の対談が紹介されている。

ちなみにこれはアニメージュ 1997年1月号 Vol.223に掲載されている対談記事と同じもの。向こうのほうが写真&注釈付きなので読みやすいと感じる人は多いかも?
庵野さんの中にある岡本喜八監督要素を掴むには必須の資料なので、ファンは手に入れやすい方で持っておいたら良いと思う。

アニメージュ 1997年1月号 Vol.223より

冒頭、エヴァのほか、『トップをねらえ!』を岡本喜八監督が観た感想を語るところから始まるわけだけど、トップ第四話後に岡本喜八監督作にハマり、第五話と最終話の絵コンテに入ったというエピソードを知っているファン目線で見たらなかなかのニヤニヤもの。

岡本喜八監督が「二本目」と表現しているあたり、もしかしたら影響を受けたあとの第五話・最終話のみ参考として庵野さんが渡していたのかもしれない。


最初は岡本喜八監督を前に緊張している庵野さんだけど、カットの話になるととにかく語る。やっぱり、最も影響を受けているところだからだと思う。

シネスコの良さ、「寄らば寄れ、引かば引け」の方法論についても触れていたりする。


この対談で一番面白いのが、カット割りのテンポについて話している部分。具体的にコマ数ベースで話しているのが大変貴重だし、両名の波長がぴったりと合ってトークのテンポも上がっている感じもいい。

それぞれの経験を元に語られていて面白いのはもちろんだし、それぞれの作品をコマ送りで観るときとかにも大変参考になる資料だと思う。


登場人物のリアクションまで入れたくなる、と語る庵野さん。このへんは庵野秀明監督作を思い返すと確かにそうだなぁという感じ。『シン・エヴァ』のAVANT1にもありますよね。


「編集だけは譲れない」と口をそろえる両名。


監督論について。「独裁者でなければ」と語る岡本喜八監督と、「専制君主だと思う」と語る庵野さん。ほんとに素晴らしい対談だと思う。